絵
幼き魂は
白い紙にクレヨンを走らせる
思うままに線を描き
色は心に波紋を広げ、心を躍らせた
やがて
年を重ねた魂は
誰かの描いた絵に憧れ、真似をする
似れば似るほど、嬉しかった
その中に、自分を見た気がした
けれどいつしか
模倣の先に もうひとつの扉があると知る
魂は 自分だけの絵を探し始めた
その絵は
ただの絵では終わらず
いくつもの断片となって
物語を語り始めた
誰かが紡いだ物語に
心が揺れたあの日のように
今度は自分の絵が
誰かの心を揺らしている
いつのまにか
絵たちは、命を持ち始めていた
――それが、
わたしにとっての「マンガ」だった
教わらずとも
わかっていたことがある
心が描き
心が語るものには
技術よりも、正しさよりも
真実が宿るのだ
信じよう
描く自分を
その手が紡ぐ、まだ見ぬ物語を
